運のいい人の行動パターンや考え方

「運がいい、悪い」という言い方は、実はあまり好きではありません。どこか他人まかせというか、自分の努力とは無関係な感じがして。だから運なのでしょうが…。
しかし、不運を避けるために役立つかも?とタイトルにひかれて、脳科学者・中野信子氏の『科学がつきとめた運のいい人』を読みました。私が「なるほど!」と大きくうなずいたことをお伝えしようと思います。
幸運の矢に当たるために必要なこと
中野信子氏は「運のいい人といわれる人たちをよく観察すると、共通の行動パターン、物事のとらえ方、考え方などが見えてきます」と書いています。その数、なんと37!
特に印象に残った、運のいい人の2つの特徴を紹介します。
一つ目は、「運のいい人は、具体的な目的をもつ」ことです。ノーベル化学賞を受賞された二人の日本人化学者を例にあげて説明しています。
二人とも偶然起きた実験の失敗が、最終的に大発見につながっています。この状況を“セレンディピティ”(思わぬものを偶然に発見する能力。幸運を招きよせる力)を発揮したと表現しています。
二人の共通点は「○○の研究をしたい、○○をつくりたい」という具体的な目的があり、失敗しても、失敗した材料を捨てずにそのまま実験を続けて、新たな発見へつながったということ。目的や目標が定まっていて、あきらめなければ、知恵も創意工夫も生まれるということです。
そもそも具体的な目的、目標がないところに、幸運の神さまは幸運の矢を飛ばしようがないそうです。なるほど!
チャンスや努力を無駄にしないために
二つ目は、「運のいい人は、目的や目標を自分なりの“しあわせのものさし”で測る」ことです。
たとえば、宝くじで大金を手にした人が何に使うのか? 使う目的は、自分なりの“しあわせのものさし”で測って決めることが大切です。
自分なりの“しあわせのものさし”、つまり自分の価値観をベースにして「こうしたい」「ああしたい」という思いがはっきりしていない人は、他人の意見や一般的な価値観に影響を受けやすくなり、せっかくのチャンスや努力が無駄になってしまう可能性があるそうです。
確かに、宝くじが当たって、人生が狂ったという話もありますね。一般的な価値観や周囲の人に影響されて、大金を元に事業を起こしたけれど倒産してしまった話とか…。
前述のノーベル化学賞を受賞した一人、田中耕一さんのこともあらためて紹介しています。
田中さんは、受賞当時43歳で肩書は「主任」でした。あえて出世の道を選ばず、現場にこだわって、自分の手を動かして実験し、自分の手を動かして装置を組み立て、お客さまに直接会って…、現場が自分にとって何より貴重だと考えていたそうです。
田中さん自身の“しあわせのものさし”で測って、現場で研究を続けていたからこそ生まれた大発見だったのです。
自分なりの“しあわせのものさし”で測った目的や目標に向かって、毎日努力していること自体が、しあわせで、運がいいのかもしれませんね。
参考図書:『科学がつきとめた運のいい人』(中野信子/著)
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=6111-6